妊娠したら乾癬は良くなる？悪くなる？

日本人のデータではないのですが、たとえば「乾癬の妊婦さんの約55％が妊娠すると乾癬が良くなり、変わらない方が約21％、悪くなった方が約21％」という報告があります¹⁾。どういう人が良くなり、どういう人が悪くなる、と決まっているわけではなく個人差があるようです^２)。そのため予測はできませんが、半分くらいの方は乾癬が良くなるということになります。2回目の妊娠の場合、１回目で良くなった人は2回目も良くなる傾向があるといわれています³⁾。産後は、妊娠中に良くなった方も元の状態に戻ることが多いようです。これは、妊娠中の女性ホルモンのバランスが影響するという説もありますし、妊娠中は過剰な自己免疫反応を抑える細胞が元気になって免疫を落ち着かせるので、リウマチなどと同様に乾癬は良くなるという報告のほうが多いと思います。
ただし、難病指定にもなっている膿疱性乾癬（のうほうせいかんせん）の場合は、妊娠により症状が再発することがあります⁴⁾。皮膚の状態が悪くなると妊娠の状況に影響することがあるので、膿疱性乾癬の方は、皮膚の状態を良くするよう、妊娠前から治療プランを主治医としっかり立てて、妊娠の期間を正しく乗り越えることが重要になります。

山口由衣先生

横浜市立大学大学院医学研究科
環境免疫病態皮膚科学 主任教授