乾癬性関節炎の治療法について知りたい

乾癬性関節炎（PsA）の治療法には、大きく分けて「薬物療法」とご自身でできるものとして「運動療法」の2つがあります¹⁾。
薬物療法で推奨されている第1段階の治療は、「消炎鎮痛剤」です。腰痛や頭痛時に痛み止めとして飲む薬ですが、PsAの場合は痛みを抑えるためではなく、炎症に関与している「プロスタグランジン」の分泌を抑えるために服用します。次の段階では、末梢病変であれば、抗リウマチ薬を使います¹⁾。これは関節リウマチなどでよく使われる免疫抑制剤（飲み薬）です。そして、それでも効果がみられなければ、生物学的製剤やJAK阻害薬（炎症性サイトカインといわれる物質をブロックする分子標的薬）を使います²⁾。 運動療法には、「動かすことで痛みを緩和する」効果と、「運動によって体重を減らせる」効果が期待できます³⁾。関節は動かさないでいると、炎症が蓄積します。たとえば起床時に感じる痛みやこわばりの原因の1つとして、就寝中の炎症の蓄積があります。こうした痛みやこわばりは、体を動かすことで緩和されます³⁾。また、肥満は乾癬の患者さんに多くみられ、リスクファクターの1つでもあります⁴⁾。運動することで体重を減らすことも、乾癬の症状を改善する上で重要です。薬をなるべく飲みたくないという患者さんも多くいると思いますので、積極的に運動を取り入れてください。

岡野匡志先生

大阪公立大学 大学院医学研究科
高齢者運動器変性疾患制御寄附講座 特任教授