皮膚科で紹介されない乾癬の治療法
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皮膚科で紹介されない
乾癬の治療法
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乾癬をインターネットで調べると、皮膚科では紹介されないクリームや治療法がいろいろ出てきて気になります。こうした治療法を試しても良いものでしょうか。
はっきり言っておすすめはいたしません。基本的に薬は多くの患者さんに効果があるかどうか、どんな副作用がどんな頻度で出る可能性があるのかなど、きちんと確かめてからでないと使えません。医療機関で紹介されない治療法は、こういったことがきちんと確かめられていないものが多いと思われます。どうしても試してみたい場合には、主治医の先生と相談した上で試すようにしてください。
リュウ
50代 / 男性 / 乾癬歴20年
ご自身の乾癬の皮疹や関節炎の症状がなかなか良くならないと、このようなインターネットの情報が気になることもあるでしょう。また、身内に乾癬の患者さんがおられるご家族の方も、心配のあまりインターネットで目にした情報をおすすめしてしまうことがあるかもしれません。われわれ皮膚科医は基本、保険診療という範囲の中で乾癬の治療を行っています。また処方している乾癬の治療薬はすべて、「この○○という新しい薬が乾癬患者さんに対して有効性はどうなのか、安全性は大丈夫なのか」などということをある一定数の患者さんで立証し(臨床試験〔治験〕といいます)、それを厚生労働省に提出し承認していただいた上で、はじめて日本中の乾癬患者さんに処方することができます。つまり、「この薬は使用開始16週でどれくらいの患者さんがどれくらいの割合でどれくらい良くなっている」ということや、「これくらいの割合でこのような副作用がみられている」というような、きちんとしたデータがあるので、安心して使用できるわけです。
残念ながら、インターネットで登場する「とても効果がありそうな魅力的な薬」として紹介されている製品の中には、このような臨床試験は行われず、われわれ皮膚科医が納得できるデータが示されていないものがあります(行っていればデータを開示するはずです)。とはいえ、そのような薬をすべて否定することはできません。というのも、実際、われわれも使用したことがないからです。したがって、皮膚科医からは、使ってみてもいいかどうかについては「この件についてはコメントしかねます。個人の判断に任せます」としか言えません。どうかこの文章を読まれた上で、ご自身で責任のある判断をなさっていただければと思います。
遠藤幸紀先生
東京慈恵会医科大学附属柏病院
皮膚科 診療部長